民事信託は、成年後見人制度の限界を補うために、近年、活用されています。基本的な仕組みは、委託者=財産を信託する人 受託者=委託者から信託された財産を管理、運用する人 受益者=信託された財産より生じた利益を受け取る人からなります。委託者と受益者が異なる他益信託では、受益者に贈与税や相続税が発生し、実務では利用されるケースは少ないです。これに対し、委託者と受益者が同じである自益信託では課税関係は生じません。実務では自益信託が多く利用されています。このように民事信託は財産を第三者に移転し(所有権が受益者に移転)、委託者の判断能力が減退した後も、受託者は裁判所の制約を受けずに財産の管理や処分が出来る制度になります。受託者は委託された財産を運用、活用、処分する事が可能です。後見制度と違って、委託者の財産を委託者の為のみならず、親族のためにも使える事が大きな違いでありメリットになります。アメリカ、イギリスではファミリートラスト、パーソナルトラストという名称で多く普及されています。民事信託は①さまざまな条件をつけて贈与することが出来る②委託者の意思を死後まで一定期間実現することが出来る③多数の所有者の財産を集約して受託者の名義に集約できる 機能があります。民事信託は柔軟な経済的価値の移転が可能となり、移転の内容につき様々な条件、時間的な制約をつける事ができ、結果、本人の遺志の多くをかなえる事が可能です。これにより、委託者の死後、相当期間、配偶者、子、孫への経済的配慮も実現可能となり、希望どおりの財産の承継と管理ができる事が可能です。つまり、委託者死亡後も、長期間にわたり財産のコントロールが可能になります。民事信託の契約書は公正証書で作成する必要があります。このように民事信託は柔軟性がありアレンジしやすいのがメリットですが、遺留分を侵害する民事信託は避けましょう。また、借り入れをする場合は信託口座を作成する必要がありますが、各金融機関によって信託契約書の文言の決まりがありますので、信託口座をつくる金融機関と提携している弁護士、司法書士に信託契約書を作成してもらいましょう。また、受託者は何人でも委託する事が可能です。信託契約を途中で止める事も、信託契約書に記載しておけば可能です。民事信託の費用は財産総額の1.5%が目安になります。このように、民事信託は既存の制度では対応できない部分をカバーできる制度になっておりますので、民事信託を利用した相続対策に利用されるケースが増えてきました。早く相続の相談をする事によって、できる対策、対応が変わってきますので、問題は先延ばしにせずに行動しましょう。弊社でも相続に関する相談が増えております。お気軽にご相談してください。