相続した財産に不動産が含まれていた場合には不動産に関する相続登記が必要になります。その際に関連する複数の登記を連件で申請するという事を連件申請と呼びます。相続登記をする際に連件で行う事が多い登記はいくつかあります。まずは一部に遺贈がある場合、遺贈の登記は相続登記の前に入ることになりますから、遺贈の登記と相続登記が連件となります。遺贈の前に、亡くなった人が住所を移転していたけれど住所変更登記をしていなかった場合などは遺贈の前に住所変更の登記が入ります。こうした形で状況によって件数が大きく変わってくることも少なくありません。さらに相続が複数起こっている場合にも複数の申請が必要になります。その他に相続後の売却や担保権の抹消などがあれば、それも連件で行うこともできます。連件申請できる登記はそれぞれ別に一件ごとに登記しても構いません。しかし連件で一気に申請してしまう事でのメリットが多く、添付書類に共通するものがある場合、援用する事も出来ますし、一つしかない書類でも複数の登記で利用できますから、書類を揃える手間を大幅に削減できることがあります。さらに登記手続きの手間が減るという事、まとめて相続にまつわる手続きを行う事で、権利関係の把握が比較的容易になります。一件ごとに調査をしていくという形よりは、まとめて処理してしまったほうが労力を少なくする事が出来るという事が大きなメリットです。また不動産取引でも利用されます。例えば、Aさんが所有する不動産をBさんに売却します。その後、Bさんが所有権移転登記を行う前に、BさんがCさんと売買契約を締結します。その場合に、AさんからBさんへの所有権移転登記の申請と、BさんからCさんへの所有権移転登記の申請を同時に行う事が可能です。この場合、AさんからBさんへの所有権移転登記が行われた上で、BさんからCさんへの所有権移転登記が行われます。例えば、BさんがAさんから1,000万円で不動産を購入し、同時にBさんはCさんに1,500万円で売却するのです。Bさんにしてみたら、自己資金を投入する事なく500万円の利益が得られます。このやり方は違法ではありませんが、トラブルも多くあります。複数の司法書士が間に入りますので、司法書士同士の連携が大事になります。不動産の購入にあたって融資を利用する場合、連件登記の場合、金融機関の理解を得られず融資がつきにくいのも実情です。またCさんにしてみたらAさんから直接、購入出来れば、Bさんから購入するよりも安く購入できます。Bは宅地建物取引業者の場合が多く、この場合、宅建業法31条1項(信義誠実義務)違反になる可能性があります。不動産業界でこのやり方が横行しているのも実情です。我々、宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実に業務を行わなければなりません。