ペアローン選択のポイント

日本銀行が5月に金融政策の一部修正を行い、それをきっかけに、長期金利が上昇傾向にあります。また近年、建築費が高騰しており、それに合わせて住宅を購入する際に住宅ローンの借り入れ額も増加しています。以前は、物件価格に対して2割程度の頭金が求められ、住宅ローンとして借入られる額は物件価格の8割までが主流でした。その為、20~30代前半での住宅購入は比較的難しかった時代があります。しかし、近年は低金利が続くなか、金融機関の競争激化で、頭金が少額またはゼロでも住宅ローンが組めるケースが増えてきています。その為、住宅ローンの利用状況は、借入額を増やすため、夫婦で借り入れるペアローンを利用する割合も多くなってきています。ペアローンを利用するにあたっては、夫婦ともに年収300万以上など、金融機関所定の年収があることを求められるのが一般的です。多くの銀行で取り扱われており、金利水準はよく比較検討することがポイントです。また、住宅ローンを2本組む事になる為、印紙税、融資手数料、保証料、登記費用などの諸費用が2本分かかる点に留意が必要です。ペアローンのメリットは、単純に借入額を夫婦で分担するのではなく、夫は35年返済の固定金利型、妻は15年返済の変動金利型というように、ライフプランに合わせた返済期間、金利タイプで組むことができます。たとえば、子供の教育費に強く不安を感じていれば、妻の分は子供の大学進学前に完済できるような返済期間にしておく事で、子供の大学進学時には、これまで妻のローン返済に充てていた額も教育費に回すことが出来る為、不安解消につながります。注意点は、配偶者の死亡に備えて生命保険に入っておく事が重要です。団信に入っているから大丈夫では?と思う人もいますが、ペアローンでは、どちらかが死亡した時、死亡した人の住宅ローン残債は団信で完済されるものの、遺された配偶者分はそのまま残ります。お互いにもしもの事があった時には、住宅ローンを2人分完済してしまえるように、生命保険をかけて備えておく必要性の認識が大切です。また一般の団信は死亡と高度障害の時に住宅ローン残債が完済される仕組みの為、病気や怪我による収入減には対応していません。所定の病気になった時に、一定期間の住宅ローン返済を肩代わりしたり、残債を返済する仕組みの疾病保証付き団信やがんと診断された時に住宅ローンの全額や半額を保険金で返済する仕組みのがん団信の利用も検討しましょう。親の介護や子育て、健康などの理由で、いずれは仕事をやめるかもしれないと思う人は、ペアローンや収入合算で住宅ローンを組むのは避けたほうが無難です。たくさん借りれるからと夫婦2人で住宅ローンを組むのではなく、できることなら1人の借り入れでも手が届くような、身の丈に合った物件選びを心がけたいところです。ペアローンを組むうえで最大のリスクは離婚です。2人で住宅ローンを組むと、お互い連帯保証人または連帯債務者になる為、夫婦としての縁は切れても、住宅ローン返済中はお金の縁は切れないからです。家を処分しようにも、住宅ローンの残債よりも高く売れなければ売却は困難で、やむなくどちらかが住み続けて、それぞれに返済を続けるという選択をする夫婦も多いようです。今年になって、ペアローン向けの団信が登場しました。この団信は配偶者の債務も一緒に免除する仕組みになっています。まだ取り扱っている保険会社は少ないですが、今後はどんどん増えていくようです。ペアローン団信を利用する場合は、上乗せ金利を確認しておく事も大事です。金利上昇の報道が続いており、共働き夫婦がペアローンを利用しての住宅購入には、やはり大きなリスクが伴います。以前、金融機関が頭金2割の用意を求めていた背景には、もしも返済が滞っても頭金を入れている分だけ担保割れとなる可能性を抑えられる事が理由のひとつでした。今年になってネット銀行を中心に、頭金が1割または2割用意できる人には、適用金利の引き下げを行う動きが加速しています。頭金を用意できる人は、割安な金利で借り入れも抑えて、より有利に、頭金無しの人は、割高な金利で高額な借入額で、よりリスクの大きい住宅ローンプランで借りるという格差が広がっています。ペアローンでは、単に借入額が増えるというメリットだけでなく、2人で住宅ローンを組むことによる「死亡」「減収」「離婚」といったリスクを理解し、ライフプラン上のリスクを抑える工夫をすることが大切です。特に20~30代といった若い世代では、十分な貯蓄が少なめで無理のある借入をしがちな為、親や祖父母からの贈与による頭金作りや、ライフプランに合わせたペアローンの組み方をする事が大事です。

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