ローン特約の成否に関する裁判例

2024/08/10 ブログ

不動産売買契約の書式には、「買主は表記の融資金を利用する場合、本契約締結後、速やかに融資の申し込みを行い、融資が否認された時は、表記期日内に本契約を白紙解除できる」と条項に定められています。しかし契約書の「融資の利用(有・無)」「融資申し込み先」「解除の期日」欄は空欄とされている事があります。通常は、「融資利用」欄には融資の利用の有無を記載し、融資の申し先や解除期日は具体的に記載します。そして契約書の条文には、融資を利用する場合には速やかに融資の申し込みをし、融資が否認された時は、表記期日に契約を白紙解除する事が出来ると記載されています。実際に融資が否認されたケースで、売買契約書の融資特約の欄が空欄になっていたケースで、融資特約が成立するのか裁判になった事案があります。判決では融資が否認された場合でも、売買契約書の融資特約欄が空欄になっていれば、ローン特約は成立しないというものでした。理由は不動産売買契約で代金支払期日が合意された以上、その支払いが出来なければ買主は債務不履行責任を負うのが原則であって、ローン特約は買主にとっては有用なものであるが、売主にとっては法的地位が不安定になるものであるから、ローン特約の適用を受ける為には、買主は少なくとも売買契約における「融資利用(有・無)」の欄と解除権の行使期間の記載をすべきであるという理由でした。ローン特約は買主の為のものではありますが、ローン特約利用の意思と解除期日を明確にしなければ買主は保護されないという事には留意する必要があります。融資を利用する場合、仲介する不動産会社に必ず「融資利用の有無」「融資機関名」「金利」「解除行使期期日」を伝え、売買契約書に記載してもらいましょう。