建築図面について

2024/03/30 ブログ

不動産の建築図面というと、募集広告時に作られる広告図面が不動産の図面として掲載されることが殆どです。しかし、そこに掲載される図面は間取図であり、殆どの図面では部屋の広さなどは掲載されていません。さらに部屋の形も募集広告の画面に合うように縦横が変形されているものも少なくありません。建築図面はいろいろな種類があるのをご存知でしょうか?まずは建築確認申請図面というものがあります。建築確認申請図は意匠図、構造図、設備図、その他確認申請に必要な書類が沢山あります。意匠図というのは建物そのものの位置や形状を示す図面になり、配置図、仕上げ表、平面図、立面図、断面図があります。確認申請図面では、建築基準法に合致しているかがわかる寸法や仕様などが最低限記載してあれば問題なく詳細な寸法は不要です。建築確認図面について、建築審査機関では建築基準法以外の箇所については確認しません。たとえばトイレの便器の向きや扉が開き戸か引き戸かは確認申請図面と違っても竣工検査では問題になりません。しかし不動産の募集図面では、そういう訳にはいきません。次に設計図というものがあります。設計図は計画する建物が施工できるように、細かい寸法の記述や詳細図も必要になります。設計図は建築工事の請負契約書にもなりますので、各所の仕上げ材料や機器の仕様が記載され、見積もりをするためのものとも言い換えられます。確認申請図面を設計図と兼用することもありますが、確認申請図以上に詳細に記述される事が一般的です。構造図は構造計算書に基づいた柱や梁の大きさや鉄筋の本数が記載された図面になります。設備図は、設備機器と配管をどのように接続するのか、どの太さの配管を使用するのかが記載されます。電気図は、どの場所にコンセントや電灯が配置されスイッチはどのようになるかが記載されます。次に施工図というものがあります。設計図は建主が希望する建物を造る為の意図が記載された工事契約の基となる図面ですが、工事を行うに至っては実際に施工する職人に器具の位置や配管ルートを詳細に指示しなければ工事は進みません。設計図では検討しきれなかった内容も施工図では検討しきれなかった内容も施工図には詳細に記載されます。設計図は見積もりに基づく契約書、施工図はそれをどのように施工するのかの具体的な指示の図面になります。実際に施工してみると施工図のようにはいかない場合もあり、変更するケースも少なくありません。竣工図は最終的にどのように施工されたのかの最終形態を記載したものになります。建物が完成した後に重要な図面はこの竣工図になります。竣工後に不具合が生じた時や改修する時、竣工図があるとない場合では、おおきな違いがあります。竣工図がなければ、配管がどのようになっているか想像するしかない為、解体してみたら創造していたルートと違っていて、修理や改修の計画をやりなおしすることさえ出てくる場合があるのです。そのような事を考慮すれば法的に必要な確認申請図面の次に重要なのは竣工図なのです。確認申請図面は、敷地の大きさや長さが違っていたとしても、その内容について認証した訳ではありません。それでは確認申請図面の敷地に記載する寸法は多少ごまかしてよいのかというとそうではなく、確認申請図面には隣地境界線・道路境界線から建物がどれくらい離れているのかを記載しなければならない為、完成検査時に大きくちがっていれば気づかれることになります。その為、設計時には正確な敷地図面が必要ですが、その敷地図面の境界が隣地と合意出来ている境界とは限りませんので、確認申請図面に記載してある境界を盾に権利を主張する事はできないのです。築が経った中古住宅になると、竣工図面は殆ど残っていません。中古住宅の売買では、確認申請図面のとおりに建物が施工せれている訳では無いという事を理解いただき、確認申請図面を基に、実際の建物を確認してみましょう。