火災保険料の負担を抑えるには?

2023/09/15 ブログ

物価上昇における家計への圧力が強まっていますが、火災保険料は災害被害の増加で上昇傾向です。被害の遭いやすさから、マンションより木造のほうが、また築年数の浅い住宅よりも古い住宅のほうが火災保険料は高くなります。また台風などの被害は居住地で異なるため、都道府県でも保険料は変わります。このように、住宅の所在地や構造、築年数などの要素で火災保険料の水準はおおむね決まってしまいます。契約手段を代理店経由からネット経由に変えたとしても、保険料水準は自動車保険のように大きくは変わりません。したがって与えられた条件で計算される火災保険料を大きくは下げられませんが、それでも保険料を下げる工夫の余地はあります。

■契約者自身で保険料を抑えられるポイント

契約者の判断で保険料を抑えることができます。

1つめのポイントは保険期間です。火災保険期間は現在、1年から5年の間で選択でき、保険期間が長いほど保険料は安くなります。補償内容が同じで、かつ、保険料の支払い方法が同じ年1回であっても、保険期間1年より5年のほうが保険料は安くなります。

2つめのポイントは、保険料をまとめて支払う事です。同じ保険期間5年であっても、保険料を分割払いで年払いとして5回にわたり支払うよりも、5年分を一括払いするほうが5年間の総保険料は安くなります。より長い保険期間で、かつ、できるだけ保険料をまとめて支払えば、補償内容を変えずに保険料を抑えられます。月払いにすると、1回あたりの保険料は最もやすくなりますが、5年間の総保険料が最も高くなります。ただ、まとまった保険料の支払いが難しい世帯にとっては、払いやすさで優位となります。目先の保険料を抑えつつ、確実に補償を確保する手段ととらえるといいでしょう。

■保証や特約を取捨選択する。

3つ目は補償や特約の取捨選択です。

補償範囲と保険料は比例しますので、補償範囲が広いほど火災保険料は高くなり、絞り込むほど安くなりますが、その際は補償の優先順位を検討します。火災保険の補償のなかには、経済的リスクの高い災害への備えとは趣旨を異にする補償があります。たとえば、破損、汚損は日常生活で建物や家財をうっかり壊した場合などに備える補償です。対象となる事故は、子供がものをぶつけて壁に穴をあけた、模様替えの際に液晶テレビを倒したといったとき。しかしこうした事故で、家計で賄えないほどのダメージを受けるとは考えにくく、保険による準備は必須ではありません。さらに破損、汚損の事故には数万円の免責金額が適用されます。保険金を請求できる場合でも損害全額をカバーできない事を踏まえて検討しましょう。特約については、他の保険契約にすでに付帯されている特約はおおむね不要と考えてよいでしょう。たとえば、個人賠償責任特約は自動車保険や損害保険、共済などに付帯できます。実損額までの補償ですから、無制限や1億円超など適切な保険金額を確保しているなら重複契約は不要です。

■災害補償を外す際は慎重な検討が必要

他方で、目先の保険料の為に必要な補償まで外すことは避けるべきです。ポイントは水災補償です。水災補償の有無は火災保険料に大きく影響することもあり、付帯しない世帯があるようです。というのも、水災による被害が近年増加しているにもかかわらず、水災補償の付帯率が低下し続けているからです。自宅に浸水や土砂災害などの水災リスクがあるのに、水災補償を付保していない世帯が、10年で11%増えたとの調査結果もあります。しかし目先の保険料を下げるために、災害時の経済的リスクを上昇させては、本末転倒です。また地震保険を付帯すると地震保険料の負担が必要になります。居住する場所や建物によっては、火災保険料より地震保険料のほうが高くなる場合もあり、付帯を躊躇する事があるかもしれません。しかし地震は、場所を問わず発生する可能性があり、誰でも被害を受ける可能性があります。目先の保険料だけではなく、被災後の家計予測を踏まえたうえで、慎重に判断する必要があります。保険料負担をおさえたい時は、火災保険だけでなく、世帯でも負担しているすべての保険を視野に見直す事が大切です。保険で準備すべきリスク、保険でなくてもよいリスクを切り分け、改めて加入する保険の要・不要を考えてみるとよいでしょう。